2冊目 ナナメの夕暮れ
オードリーの若林さんがとても好きである。
もちろん彼らのネタは面白い。ラジオも楽しいし、バラエティー番組だってレギュラー10本を優に超える言わずと知れた超売れっ子である。
でも、私がオードリーの若林さんが好きである、と言いたくなるのは彼の文才によるものが大きい。
最初に読んだ若林さんの著書は
これだった。
「人見知り芸人」として有名な若林さんが、長いモラトリアムののちM-1で準優勝してからの急激な環境の変化、人との関わりづらさ、過剰すぎる自意識について面白おかしく書いた本である。
お笑い芸人さんの書いた本なので、コラム1つ1つにオチがあってしっかり面白いんもはもちろん、「人見知り」で一人で考え事をしている時間が長いから、考えていることの内容もべらぼうに面白い。
とがっている、とはまさにこのことといった、鋭い視点で周りの世界が切り取られているのである。
この本を最初に読んだときは、まずは笑った。そして自分の中のこじらせた部分と共鳴していることに気づき、勝手に若林さんに親近感を抱いた。
そして夜中など、友達と「こじらせ」の話になるとこの本をすすめた。みんな読んだ。そしてはまった。
そんな20代のこじらせっぷりを代弁してくれるかのような本を30代の若林さんは書いてくれたのである。
この本のあと、もう少し大人になった若林さんが書いたのが
この、ナナメの夕暮れだ。
読んで思ったこと。
「たくさんいろんな考え事をして学び続けて大人になると、生きるのが楽になる瞬間がくるのだ」
もちろん前作と同様に抜群に面白い。家で読みながら声を出して笑ってしまうところも何箇所もあった。
だけれど、最後に残ったのは安心感だった。
このまま大人になっていいのだろうか、というか社会一般からしたらもう社会人と呼ばれる年代なのにモラトリアムを享受している自分に少しずつ積み重なっていた不安。
この社会でやっていけるのかな、という気持ちが、
わたしよりもっとこじらせていてもっともっととがっていた若林さんが、
いい感じ角が取れていきやすくなっているという事実に救われた。
年をとるの、ちょっと楽しみにもなった。
どんな大人になるのが正解か、わからなくて不安になったきみへ。